タッチで音色は変わるのか?科学が証明した“ピアニストの感覚” 電子ピアノの未来にも期待

ピアニストの「タッチ」が音色を変えることを科学的に解明

――電子ピアノにも新たな進化のヒントになるかも?――

一般社団法人NeuroPianoから興味深い研究成果が発表されました。

ピアニストの「タッチ」が音色を変えることを科学的に解明
~高精度センサーとデータサイエンスと心理物理実験により、巧緻な動作と高次の知覚の関係を解明~

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000170232.html

これは、株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所の古屋晋一博士らのグループとの共同研究で、ピアニストの鍵盤操作(タッチ)がピアノの音色を変えることを、世界で初めて科学的に示したものです。
100年以上「本当にタッチで音色は変わるのか?」と議論されてきたテーマに、明確な裏付けが与えられた格好です。

研究のポイント

  1. 高精度な計測
    独自開発の非接触センサー「Hackkey」で、プロピアニスト20名の鍵盤動作を1秒間に1000コマの高精度で計測。
  2. 音色の知覚
    「明るい/暗い」「軽い/重い」といった音色の違いは、演奏経験の有無に関わらず聴き手に知覚されることが実験で確認されました。
  3. 因果関係の特定
    音色の違いは、鍵盤動作の特定の特徴(例:エスケープメント時の加速度、両手の同期のずれ)に集約できると判明。
    さらに、その特徴だけを変化させた音でも、聴き手が「違う音色」と感じることが実験的に確認され、動作と音色の因果関係が科学的に示されました。

今後への期待

今回の成果は、アコースティックピアノでのタッチと音色の関係に関するものです。
サンプリング音源を使う電子ピアノでは同じ仕組みがそのまま当てはまるわけではありませんが、こうした研究から得られた「音色を生み出す動きの特徴」は、電子ピアノの開発や指導・練習支援にもヒントになりそうです。

特に、電子ピアノにも搭載され始めている「エスケープメント機構」(鍵盤の途中で感じるわずかな手応え)は、今回の研究で注目されたポイントの一つと重なる部分があります。今後さらに改良されていけば、アコースティックピアノに近い感覚や音色表現に近づく可能性も感じられますね。

おわりに

ピアニストのタッチが音色を左右することが、感覚的な言い回しではなく、科学的に裏付けられたという今回の研究。
私たち電子ピアノ販売店としても、「どんな練習をすれば音色表現が豊かになるのか」「どんな機構を備えた電子ピアノが表現力を高められるのか」といった視点で、お客様にお伝えできることが増えていくのではないかと感じています。

電子ピアノも年々進化を続けています。今回のような研究成果が、これからの楽器づくりや演奏サポートのあり方にどんな変化をもたらすのか、とても楽しみですね。

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