2024年2月 中古電子ピアノ店が1世代前の電子ピアノを紹介する【クラビノーバ CLPシリーズ編】
電子ピアノも様々な機能を取り入れ、進化し続けています。
しかし、モデルチェンジは必ずしも「いいこと」だけではありません。
もちろん電子楽器なので、サウンドや機能などは進化し、新しい=より本物のピアノに近づくという印象があります。
その分、新機能を搭載することで値上がりや、価格を維持するために機能を落とすこともあります。
そこで中古電子ピアノ店なので、1世代前の電子ピアノを紹介したいと思います。
新しい機能が本当に必要かどうかも考え、現行モデルだけでなく、価格を抑えた中古電子ピアノも選択肢に入れてみてください。
ヤマハ クラビノーバ CLPシリーズ
現行モデルはCLP-700シリーズで、2020年8月に発売されました。735、745、775、785の4種類が主な機種になります。
1世代前はCLP-600シリーズで、2017年6月に発売され、約3年間製造されました。7シリーズと同様に635、645、675、685の4種類があります。
635/735ともに鍵盤は樹脂製、645/745より上位モデルは木製鍵盤になっています。
サウンド面
600シリーズと700シリーズの大きな違いはシミュレートに関するサウンド面です。
600シリーズと700シリーズで内部のピアノ音色そのものに変更はありませんが、700シリーズより「グランド・エクスプレッション・モデリング」が搭載されており、タッチの強弱による音の変化をよりシミュレートされています。
音色もわずかながら増えています。
745より上位モデルは600シリーズからスピーカー(アンプ)も変わっているのでサウンド面の向上があります。
機種名 | ピアノ音 |
---|---|
CLP-785 | ヤマハ CFXサンプリング、 ベーゼンドルファー インペリアルサンプリング |
CLP-775 | ヤマハ CFXサンプリング、 ベーゼンドルファー インペリアルサンプリング |
CLP-745 | ヤマハ CFXサンプリング、 ベーゼンドルファー インペリアルサンプリング |
CLP-735 | ヤマハ CFXサンプリング、 ベーゼンドルファー インペリアルサンプリング |
CLP-685 | ヤマハ CFXサンプリング、ベーゼンドルファー インペリアルサンプリング |
CLP-675 | ヤマハ CFXサンプリング、ベーゼンドルファー インペリアルサンプリング |
CLP-645 | ヤマハ CFXサンプリング、ベーゼンドルファー インペリアルサンプリング |
CLP-635 | ヤマハ CFXサンプリング、ベーゼンドルファー インペリアルサンプリング |
鍵盤
700シリーズより「グランドタッチ™鍵盤」「グランドタッチ-エス™鍵盤」が搭載されています。
600シリーズと700シリーズでは鍵盤の構造そのものに大きな変化はありませんが、上記のサウンドモデリングに対応した鍵盤へ変更されています。
鍵盤は500シリーズから600シリーズの時に木製鍵盤やエスケープメントの搭載など劇的に進化していますが、600シリーズから700シリーズは構造というよりも、音のシミュレートに対応する鍵盤への進化となっています。
機種名 | 鍵盤 |
---|---|
CLP-785 | グランドタッチ鍵盤、木製(白鍵)、象牙調・黒檀調仕上げ、エスケープメント付き |
CLP-775 | グランドタッチ鍵盤、木製(白鍵)、象牙調・黒檀調仕上げ、エスケープメント付き |
CLP-745 | グランドタッチ-エス鍵盤、木製(白鍵)、象牙調・黒檀調仕上げ、エスケープメント付き |
CLP-735 | グランドタッチ-エス鍵盤、象牙調・黒檀調仕上げ、エスケープメント付き |
CLP-685 | グランドタッチ鍵盤、木製(白鍵)、象牙調・黒檀調仕上げ、エスケープメント付き |
CLP-675 | グランドタッチ鍵盤、木製(白鍵)、象牙調・黒檀調仕上げ、エスケープメント付き |
CLP-645 | ナチュラルウッドエックス(NWX)鍵盤、木製(白鍵)、 象牙調・黒檀調仕上げ、エスケープメント付き |
CLP-635 | グレードハンマー3エックス(GH3X)鍵盤、象牙調仕上げ、エスケープメント付き |
総合
600シリーズと700シリーズではモデリングが向上しています。僅かなタッチの強弱を感知し、その音の変化をシミュレートに関する機能です。
CLPシリーズのピアノ音はサンプリング音源です。実際のピアノを録音し、それを忠実に再現している方法です。700シリーズのモデルチェンジについてはこのサンプリング音源が変わったわけではないので、基本的なピアノの音に変化はありません。
強弱による音の変化、例えば強く弾くと他の弦と共鳴するようなシミュレートされた音のアップデートになっています。
音色についてはモーツァルトやショパンの時代のピアノ音色が追加され、ヘッドホンで使用するバイノーラルサンプリング音に「ベーゼンドルファー インペリアル」が追加されています。
600シリーズと700シリーズはどちらがオススメ?
スピーカーから音を出してピアノを楽しみたい
音量をしっかり出せる場合は700シリーズがオススメです。
スピーカーが700シリーズから大きめのものに変わっています。
また、音量を上げることで700シリーズから搭載された「グランド・エクスプレッション・モデリング」がより分かりやすくなります。
逆に小さい音がメインの場合は今回のモデルチェンジはあまり影響しない(聞き取れない)ので、600シリーズでも十分です。
ヘッドホンをよく使う
600シリーズ以降よりバイノーラルサンプリング(バイノーラルについての解説はこちら)が採用されています。
700シリーズよりその音色に「ベーゼンドルファー インペリアル」の音色が追加され、2音色になっています。
バイノーラルサウンドの音色を楽しみたい場合は700シリーズですが、ヘッドホンのクオリティーにもよるので、個人的には600シリーズで価格を抑えて、上位ランクのヘッドホンに予算を回すこともいいのではないかと思います。
スマートデバイスとの連携
700シリーズから音色や細かい設定をスマートホンやタブレットを使用して操作できる「Smart Pianist」というアプリに対応しています。
600シリーズはそのままではアプリに対応していませんが、ファームウェアを更新することで使用できるようになります。
たくさんの種類のピアノを楽しみたい
700シリーズではピアノの原型である「フォルテピアノ」など、特殊なピアノの音色が増えています。
数百年前に書かれた楽曲を、楽譜の指示のまま忠実に当時の楽器の音で弾いてみることで、作曲家の意図をよりリアルに体感できます。
特殊なピアノの音色も楽しみたい場合は700シリーズ、通常のピアノ音で十分の場合は600シリーズでも問題ありません。
価格帯で比較するなら1世代前の1ランク上の中古
600シリーズ→700シリーズの大きな違いはあまりありませんが、635と645では価格も性能も大きな違いがあります。
下位ランクには無く、上位ランクのモデルに欲しい機能が搭載されている場合もあります。
中古電子ピアノの最大のメリットはやはり価格です。
中古の場合は1世代前の上位ランクモデルが同じような価格帯になるので、同じ価格で本当に欲しい機能が備わった機種が購入できるかもしれません。購入を検討している場合は機能を比較してみましょう。
検討機種
現行モデル | 中古比較機種 | 価格帯 |
---|---|---|
YDP-165 | CLP-635 | 約10万円 |
CLP-735 | CLP-645 | 約13万円 |
CLP-745 | CLP-675 | 約17万円 |
CLP-775 | CLP-685 | 約23万円 |
CLP-785 | NU1X | 約35万円 |