電子ピアノのヘッドホンでの音について

電子ピアノのメリットはコンパクトさと音量をコントロールできることです。ヘッドホンを付けることで音をスピーカーから出さずに演奏することができます。

電子ピアノもそのヘッドホンについて様々な音の工夫が行われています。スピーカから出る音でだけでなく、ヘッドホンを使用した音はまた違った聞こえ方をします。

各メーカーのヘッドホンサウンドへのこだわりを見てみます。

ヤマハ

バイノーラルサンプリング

「バイノーラルサンプリング」とは、ダミーヘッドを用いて奏者の耳と同じ位置に専用のマイクを備え付け、聴こえてくるピアノの音をそのままサンプリングする方式。クラビノーバを演奏する際に、ヘッドホンを着用していても音がピアノ本体から自然に響いてくるような臨場感が得られ、まるでグランドピアノの前に座って演奏しているような立体的で自然な響きを体験できます。そのため、長時間ヘッドホンを使用しても、ヘッドホンをしていることを忘れるほどに快適です。

CLP-700シリーズでは、ヤマハ「CFX」に加えて、ベーゼンドルファー「インペリアル」の「バイノーラルサンプリング」を搭載。

また、「ステレオフォニックオプティマイザー」は、「CFX」「インペリアル」以外のピアノ音色でヘッドホン演奏をする際に、バイノーラルに近い自然な音の広がりを再現する技術です。

ヤマハCLP-785よりhttps://jp.yamaha.com/products/musical_instruments/pianos/clavinova/clp-785/index.html

ヤマハのCLPシリーズ(クラビノーバ)のような上位モデルでは「バイノーラルサンプリング」を採用しています。

バイノーラル録音とは左右別々に人間の耳で聞こえるようにする方法です。
となると、グランドピアノも高音が右側、低音が右側はもちろん、響板の奥行きや屋根の反射音といった上下の音も再現しているようになります。

ヘッドホンを使用しても上下・左右・前後の音と立体的に分かるようになるのがヤマハのヘッドホンの音です。

前モデルの6シリーズまではCFXのみでしたが、現在の7シリーズからインペリアルも追加されています。

ステレオフォニックオプティマイザー

設定した音量に応じて、音のバランスを最適に補正する新技術によって、長時間演奏しても疲れにくく、耳に優しい自然なサウンドを実現しています。

また、ヘッドホンをつけてピアノ音色を弾くときに、アコースティックピアノの前に座って弾いているかのような音の広がりを再現する「ステレオフォニックオプティマイザー」を搭載しています。

ヤマハYDP-165よりhttps://jp.yamaha.com/products/musical_instruments/pianos/arius/ydp-165/index.html

YDPシリーズ(アリウス)やCLPシリーズのバイノーラルサンプリング以外の音は「ステレオフォニックオプティマイザー」を使用しています。

音の広がりを重視する他、強すぎる音圧などをヘッドホンで聞きやすい音(耳に負担をかけない音)に自動調整してくれる機能です。

ローランド

ヘッドホン・アコースティック・プロジェクション

時間や周囲を気にせずに、ヘッドホンで集中して演奏を楽しめるのは、デジタルピアノの最大の利点のひとつ。LX700シリーズは「ヘッドホン・アコースティック・プロジェクション」の技術で、立体的な豊かな音場をヘッドホンでも体感することができます。特にピュアアコースティック・アンビエンスのコンサートホール、スタジオ、大聖堂などの響きを、よりリアルに感じながら演奏できます。ヘッドホンを付けていることを忘れてしまうほど、気持ちよく演奏できるヘッドホン・システムです。

ローランドLX700シリーズよりhttps://www.roland.com/jp/products/lx700_series/features/

ローランドの電子ピアノはグランドピアノの音をモデリングした音が使われています。共鳴する弦など、ピアノの鳴る仕組みを完全再現されるようになっています。

そしてそのモデリングは残響音にも活用されています。

グランドピアノも響きの何もない場所で演奏ばかりでは味気なくなってしまいます。そこでホールなどでの演奏のように残響音(リバーブ)を足すことが出来ます。ホールの他にもスタジオや大聖堂などをモデリングした音があり、それをヘッドホンを使用することで、より繊細に感じることが出来るのがローランドのヘッドホンの音です。

ヘッドホン・3D・アンビエンス

昼夜を問わず練習できるのはデジタルピアノの大きな魅力。ヘッドホン・3D・アンビエンスの効果で、ヘッドホンでもグランドピアノのような立体的な音場を感じて、長時間でも気持ちよく、集中して演奏ができます。音量の調節はもちろん、ボリューム・リミット機能を使えば、最大音量を設定することも可能。へッドホン着用時の不意の大音量を防ぐことができます。

ローランドHP700シリーズよりhttps://www.roland.com/jp/products/hp700_series/

HOMEピアノシリーズで採用されているのが立体感を感じるようなヘッドホンサウンドです。サウンドの広がりはもちろん、最大音量も設定されている強く弾かれた音からも耳を守ることができます。

カワイ

スペイシャル・ヘッドホン・サウンド

全方向にバランスのとれたノーマル、左右の広がりを強調したワイド、前方への定位を強調したフォワード(グランドピアノの音の響きを意識した定位)、の3つの選択が可能です。どのモードを選んでも、自然な音の広がりにより、長時間ヘッドホン演奏を続けても疲れにくく、快適な演奏を楽しめます。 また、オープン、セミオープン、クローズ、インナーイヤー、カナルと、ヘッドホンの種類に応じて、最適な音質を選ぶことが可能です。

カワイCA901よりhttps://www.kawai.jp/product/ca901/

カワイは全機種で「スペイシャル・ヘッドホン・サウンド」を採用しています。

バランスの良さ(いわゆる普通の音)や、左右の広がり(低音・高音によって左右に分かれる)、そしてグランドピアノのように前側でなるような音といった、ヘッドホンならではの音でピアノの音を聞くことが出来ます。

また、使用しているヘッドホンの種類によって音色も変わるので、その中から最適な音質を選ぶことが出来るのも特徴です。

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