ローランド FP-40を電子ピアノ専門店が解説|Wi-Fi搭載で何が変わる?これからの電子ピアノを考える新モデル

ローランドから、新しいポータブル・デジタルピアノ「FP-40」が登場しました。

FPシリーズといえば、持ち運びやすい本格的な電子ピアノとして、これまでFP-10、FP-30X、FP-60X、FP-90Xなどが展開されてきたシリーズです。

今回のFP-40も、PHA-4スタンダード鍵盤やピアノ・リアリティ音源を採用するなど、ピアノとしての基本性能をしっかり備えています。

しかし、FP-40を語るうえで最も注目したいのは、鍵盤や音源だけではありません。

ローランドのデジタルピアノとして初めてWi-Fiを搭載したこと。

そして、そのWi-Fiを活用して「Piano Sphere」という新しいピアノ学習サービスと連携することです。

では、これまでBluetoothでスマートフォンやタブレットにつながっていた電子ピアノに、なぜWi-Fiが必要なのでしょうか。

今回は、FP-40の基本性能だけでなく、Wi-Fi搭載によって電子ピアノがどのように変わっていくのかという視点から、この新モデルを見ていきます。

FP-40はどんな電子ピアノ?

FP-40は、ローランドのポータブル・ピアノ「FPシリーズ」に加わる新モデルです。

市場想定価格は99,000円(税込)。

サイズは幅1,307mm、奥行332mm、高さ122mm、重量14kg。

スタンドを組み合わせて据え置き型のように使うこともできますが、本体だけなら比較的持ち運びやすく、限られたスペースにも置きやすいサイズです。

鍵盤には、ローランドの「PHA-4スタンダード鍵盤」を採用。

ハンマー・アクション、エスケープメント、象牙調の鍵盤表面を備え、電子ピアノとしてしっかりとした弾き心地を目指したモデルです。

音源には「ピアノ・リアリティ音源」を採用し、最大同時発音数は256音。

さらに、8×12cmスピーカー×2と12W+12Wのアンプを搭載しています。

9万円台という価格帯で、こうした基本性能に加えてWi-Fiまで搭載していることが、FP-40の大きな特徴です。

ポータブルタイプでありながら、単に「持ち運べる電子ピアノ」というだけではなく、自宅での練習にも十分対応できる仕様になっています。

FP-40で最も特徴的なのが「Wi-Fi」

FP-40の大きな特徴は、やはりWi-Fiです。

ローランドによると、FP-40は同社のピアノとして初めてWi-Fiを搭載したモデル。

ここで少し疑問に感じる人もいるかもしれません。

「スマートフォンとはBluetoothでつながるのに、なぜWi-Fiが必要なの?」

実際、ローランドの電子ピアノでは、これまでもBluetoothを利用してスマートフォンやタブレットと接続することができました。

「Roland Piano App」も、Bluetoothを搭載した多くのローランド・デジタルピアノに対応しています。

つまり、スマートフォンと電子ピアノをつなぐだけなら、すでにBluetoothでできていたわけです。

FP-40のWi-Fiは、それとは少し役割が違います。

FP-40自身が自宅のWi-Fiネットワークに接続することで、インターネットを介したサービスやアップデートにつなげるためのものです。

BluetoothとWi-Fiは何が違う?

FP-40にはBluetoothもWi-Fiも搭載されています。

この2つは「どちらも無線」という点では似ていますが、役割は異なります。

Bluetoothは、スマートフォンやタブレットとFP-40を直接つなぎ、

  • スマートフォンの音楽をFP-40のスピーカーで再生する
  • MIDIデータを送受信する
  • アプリと電子ピアノを連携する

といった用途に使われます。

一方、Wi-FiはFP-40を自宅のネットワークに接続し、インターネット上のサービスとつなぐために使われます。

今回のFP-40では、主に「Piano Sphere」との連携や、本体のアップデートなどがWi-Fiの役割になります。

そのため、

Bluetooth=スマートフォン・タブレットなどとの接続

Wi-Fi=インターネット上のサービスとの接続

と考えると分かりやすいでしょう。

Wi-Fiで何ができる?「Piano Sphere」との連携

FP-40と同時に発表されたのが、ピアノ学習アプリ「Piano Sphere」です。

Piano Sphereは、初心者から経験者までを対象にしたピアノ練習アプリ。

好きな曲を使って練習したり、レベルに応じたレッスンを受けたり、演奏に対するリアルタイムのフィードバックを受けたりすることができます。

無料版でも100曲の楽曲と3つのレッスンコースが用意されており、有料プランにアップグレードすると1,000以上の楽曲やレッスンコンテンツが利用できます。

さらに、練習した日数を記録するストリーク機能や、演奏時間を確認できるアクティビティ表示なども用意されています。

ここで面白いのが、FP-40ではアプリを起動していない状態でも演奏時間を記録できるという点です。

ピアノを弾く。

その記録が残る。

次にアプリを開いたときに、自分がどれくらい練習しているかを確認できる。

これまでの電子ピアノにはなかった「楽器を使い続けること」そのものをサポートする仕組みです。

では、Wi-Fiはレッスンのためだけなのか?

ここがFP-40を考えるうえで重要なポイントです。

現時点でWi-Fiの大きな役割は、Piano Sphereとの連携です。

そのため、レッスンアプリを使わない人にとっては、

「Wi-Fiが付いていることが購入の決め手になるのか?」

という疑問も出てきます。

これは正直なところ、現時点では人によって評価が分かれるところでしょう。

スマートフォンから音楽を流して演奏したいだけならBluetoothがあります。

Roland Piano Appを使って音色や設定を変更したいだけなら、Bluetoothで対応できます。

従来型の電子ピアノとして演奏するだけなら、Wi-Fiがなくても困る場面はそれほど多くありません。

では、なぜローランドは今回Wi-Fiを搭載したのでしょうか。

FP-40は「これから変わる電子ピアノ」の第一歩?

その答えとして考えられるのが、ローランドが掲げる「Connected Instruments」という考え方です。

ローランドはFP-40とPiano Sphereの組み合わせを、単に「電子ピアノと学習アプリを組み合わせた商品」とは位置付けていません。

電子楽器とインターネットをつなぎ、アプリやオンラインコンテンツを通じて継続的に新しい体験を提供する取り組みとして位置付けています。

つまりFP-40は、

「購入した時点で機能が完成している電子ピアノ」

から、

「インターネットを通じてサービスや機能が追加されていく電子ピアノ」

への変化を感じさせるモデルともいえます。

実際、ローランドはFP-40について、今後も新しいサービスや機能強化、エコシステムとの連携を通じて継続的にアップデートしていくことを案内しています。

将来的にはAIや音色の追加も?

ここはFP-40を見ていて気になるところです。

現在のPiano Sphereは、ユーザーのレベルや演奏状況に合わせたレッスンや楽曲を提案するなど、デジタルサービスならではの機能を備えています。

今後こうしたサービスが発展していけば、AIなどを活用した、より個人に合わせた練習サポートが登場する可能性も考えられます。

また、電子ピアノ本体についても、ネットワークを利用してシステムをアップデートできる仕組みが用意されています。

ただし、現時点でローランドが「今後AI機能を追加する」「新しい音色をWi-Fi経由で追加する」と具体的に発表しているわけではありません。

そのため、現段階では「将来的にどのようなサービスや機能が追加されるのか」に注目したいところです。

実際、発売時点ですでにFP-40にはシステムプログラムのアップデートが用意されています。現在公開されているVer.1.02では軽微な不具合修正が行われています。

これが今後、どこまで大きな機能追加につながっていくのか。

FP-40の面白さは、そこにもあります。

「Wi-Fi付きだから買う」ではなく「今後に期待する」モデル

FP-40を検討するとき、Wi-Fiという言葉だけを見ると、少し大げさに感じるかもしれません。

実際、現時点でWi-Fiがなくても電子ピアノとして困ることは少なく、Bluetoothでもスマートフォンやタブレットとの連携はできます。

その意味では、Wi-Fiは「今すぐ必要な機能」というより、FP-40のこれからを支えるための機能と考えたほうが分かりやすいでしょう。

Piano Sphereを使ってレッスンをしたい人にとっては、すでにメリットがあります。

一方で、レッスンアプリを使わず、普通にピアノを弾くことが中心の人にとっては、Wi-Fiそのものが大きな購入理由になるとは限りません。

だからこそFP-40は、単純に「FP-30Xより上、FP-60Xより下」という価格帯だけで見るよりも、

「これからの電子ピアノはどう変わっていくのか」

という視点で見ると興味深いモデルです。

FP-40の基本性能もしっかりしている

もちろん、ネットワーク機能だけでFP-40を評価する必要はありません。

PHA-4スタンダード鍵盤、ピアノ・リアリティ音源、最大256音ポリフォニー、12W+12Wのスピーカーなど、電子ピアノとしての基本性能もしっかり備えています。

また、本体重量は14kg。

ポータブル・ピアノとして、持ち運びやすさと演奏性能を両立させたモデルになっています。

そのため、

「新しいネットワーク機能はよく分からないけれど、ローランドのポータブルピアノが欲しい」

という人でも、FP-40そのものを通常の電子ピアノとして検討できます。

FP-40はどんな人に向いている?

FP-40は、特に次のような人に向いているでしょう。

Piano Sphereを使って練習したい人

今回のFP-40で最も分かりやすいメリットです。

レッスンコンテンツや楽曲を使いながら、練習時間や上達状況を記録していきたい人には、FP-40とPiano Sphereの組み合わせが向いています。

スマートフォンやタブレットを積極的に活用したい人

BluetoothオーディオやMIDI、USB Type-Cなど、モバイル機器との接続にも対応しています。

これまでの電子ピアノのように「ピアノ単体で練習する」だけではなく、スマートフォンやタブレットを組み合わせて使いたい人にも使いやすいでしょう。

長く使うことを考えている人

FP-40は、今後のアップデートや新しいサービスとの連携を想定したモデルです。

現時点の機能だけでなく、今後どのようなサービスが追加されていくのかを楽しみながら使いたい人には、面白い選択肢になりそうです。

まとめ|FP-40は「次世代の電子ピアノ」への入り口

FP-40は、ローランドのFPシリーズに新たに加わったポータブル・デジタルピアノです。

PHA-4スタンダード鍵盤やピアノ・リアリティ音源など、ピアノとしての基本性能を備えながら、今回大きく変わったのがWi-Fiへの対応です。

Bluetoothが「スマートフォンと電子ピアノをつなぐ」ためのものだとすれば、Wi-Fiは「電子ピアノそのものをインターネットにつなぐ」ためのもの。

その先にあるのが、Piano Sphereのようなレッスンサービスや、今後のアップデート、新しいサービスとの連携です。

現時点では、Wi-Fiがすべての電子ピアノユーザーに必要な機能とはいえません。

しかし、

「購入したときが完成ではなく、使い続ける中で進化していく電子ピアノ」

という考え方は、これからのデジタルピアノを考えるうえで非常に興味深いものです。

FP-40が今後どのようなアップデートやサービスに対応していくのか。

その部分も含めて、これからの電子ピアノの方向性を感じさせる1台といえるでしょう。

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