ピアノ教育の研究が、電子ピアノの未来も変えていく!?
〜ヤマハとピティナの共同研究から見える、これからの電子ピアノ〜
2025年12月、ヤマハ株式会社が一般社団法人 全日本ピアノ指導者協会(略称:ピティナ/PTNA)と、ピアノ演奏計測の分野で新たな共同研究を開始すると発表しました。
この取り組みはピアノ教育の質を高めることを目的としていますが、電子ピアノに日頃から触れている立場として見ると、今後の楽器開発にも大きく関わってくる内容だと感じます。
電子ピアノはこれまで、「自宅練習のための楽器」という位置づけから、「本格的なレッスンにも使える楽器」へと進化してきました。今回の研究は、その流れをさらに後押しするものと言えるでしょう。
演奏をデータとして捉えるヤマハの取り組み
ヤマハの研究施設では、ピアノ演奏を多角的に計測できる環境が整えられています。具体的には、
- 演奏時のMIDIデータ
- 鍵盤やハンマーなど内部機構の動き
- タッチの強さや速度の変化
- カメラやマイクによる演奏全体の記録
といった情報を同時に取得し、演奏を「見える化」することが可能です。
今回の共同研究では、これらの技術をピアノレッスンの現場で活用し、
- 効率的な練習方法とは何か
- 上達していく演奏に共通する要素は何か
を、経験だけでなくデータに基づいて整理していくことが目的とされています。


教育研究が、電子ピアノづくりに活かされる理由
この研究が興味深いのは、教育分野にとどまらず、楽器開発にも直結していく点です。
実際の演奏データが蓄積されることで、
- 上達に伴って変化するタッチの傾向
- 無理のない指の動きや鍵盤への力のかかり方
- 表現力の違いがどこに現れるのか
といったことが、より明確になっていきます。
これらは、電子ピアノの
- 鍵盤タッチの設計
- 音の立ち上がり方や減衰の表現
- 演奏時の自然なレスポンス
を考えるうえで、非常に重要な要素です。
「この電子ピアノで、きちんと練習になるのか」という疑問に対し、研究に裏付けられた説明ができるようになる点も、大きな変化だと感じます。


電子ピアノは「上達を支える楽器」へ
近年は、電子ピアノとアプリを連携させた機能も増えてきました。
今回の研究成果が反映されていけば、
- 自分の演奏の傾向を客観的に確認できる
- レッスン内容に沿った練習のヒントが得られる
- 成長の過程を振り返りやすくなる
といった、学習支援としての価値もさらに高まっていくでしょう。
電子ピアノは、音を出すための楽器から、上達を支える存在へと役割を広げつつあります。
研究の積み重ねが、電子ピアノの未来をつくる
電子ピアノがここまで進化してきた背景には、長年にわたる研究の積み重ねがあります。
ヤマハとピティナによる今回の共同研究も、その流れの中にある取り組みです。
- 教育現場で得られたリアルな演奏データ
- 研究によって整理された上達のプロセス
これらが次世代の電子ピアノへと反映されることで、電子ピアノは「本物に近い」だけでなく、「しっかり育ててくれる楽器」へと進化していくはずです。
今後、電子ピアノがどのように変わっていくのか。
その背景にある研究にも注目しながら、これからの動きを見ていきたいと思います。
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