電子ピアノの「スタンダードタイプ」と「スリムタイプ」って何が違うの?

最近では、据え置き型の電子ピアノにも、従来の「スタンダードタイプ」に加えて、よりコンパクトな「スリムタイプ」が各メーカーから登場するようになりました。

たとえば、ヤマハでは「アリウスシリーズ」の中に、スタンダードタイプのYDPシリーズとスリムタイプのYDP-Sシリーズがあります。ローランドでは、スタンダードタイプのHPシリーズRPシリーズに対し、スリムタイプのDPシリーズFシリーズがあります。

では、このスタンダードタイプとスリムタイプでは、どのような違いがあるのでしょうか?
代表的なモデルを比較しながら解説していきます。

ヤマハ YDP-165 と YDP-S55 の比較

項目YDP-165YDP-S55
寸法幅: 1,357mm, 高さ: 849mm (譜面立てを立てた場合 1,003mm), 奥行き: 422mm幅: 1,353mm, 高さ: 792mm (鍵盤蓋オープン時 976mm), 奥行き: 309mm(鍵盤蓋オープン時 317mm) *転倒防止金具装着時:382mm
質量42.0kg40.0kg
鍵盤数8888
鍵盤種グレードハンマー3(GH3)鍵盤 象牙調・黒檀調仕上げグレードハンマー3(GH3)鍵盤 象牙調・黒檀調仕上げ
タッチ感度ハード/ミディアム/ソフト/フィックスハード/ミディアム/ソフト/フィックス
ペダル数33
ハーフペダル〇(ダンパーペダル)〇(ダンパーペダル)
ペダル機能ダンパー/ソステヌート/ソフトダンパー/ソステヌート/ソフト
言語英語英語
鍵盤蓋スライド式回転式キーカバー
譜面立て
譜面止め
音源方式ヤマハ CFXサンプリングヤマハ CFXサンプリング
VRM Lite
最大同時発音数192192
プリセット音色数1010
リバーブ4種類4種類
インテリジェント・アコースティック・コントロール(IAC)
ステレオフォニックオプティマイザー
デュアル
デュオ
内蔵曲数音色デモ曲: 10曲, クラシック名曲: 50曲, レッスン曲: 303曲音色デモ曲: 10曲, クラシック名曲: 50曲, レッスン曲: 303曲
録音曲数11
録音トラック数22
データ容量1曲150 KB(約11,000音符)1曲150 KB(約11,000音符)
再生フォーマットSMF(フォーマット0、フォーマット1)SMF(フォーマット0、フォーマット1)
録音フォーマットSMF(フォーマット0)SMF(フォーマット0)
メトロノーム
テンポ5~2805~280
トランスポーズ-6~0~+6-6~0~+6
チューニング414.8 Hz~440.0 Hz~466.8 Hz414.8 Hz~440.0 Hz~466.8 Hz
ヘッドホンステレオ標準フォーン端子(×2)ステレオ標準フォーン端子(×2)
USB TO HOST
アンプ出力20W x 220W×2
スピーカー12cm x 212cm x 2
電源PA-300C(またはヤマハ推奨の同等品)PA-300Cまたはヤマハ推奨の同等品
消費電力13W(電源アダプターPA-300C使用時)13W(電源アダプターPA-300C使用時)
オートパワーオフ
椅子の有無高低自在椅子無(別売り)
電源アダプターPA-300CPA-300C
その他保証書、取扱説明書、クラシック名曲50選(楽譜集)、専用ヘッドホン(V577100)保証書、取扱説明書、クラシック名曲50選(楽譜集)

価格がYDP-S55が1万円ほど高くなります。

スリムタイプの方が高さで約5cm、奥行きで約11cm(転倒防止金具を含めると実質4cmの差)コンパクトです。
ただし、付属椅子がない点や、転倒防止金具によって「見た目より奥行きがある」ことには注意が必要です。

同様に、YDP-145YDP-S35でも、高さ約2cm・奥行き約6cmの違い、そして椅子の有無が大きな差になります。

ローランド RP701 と F701 の比較

特徴RP701F701
音源スーパーナチュラル・ピアノ音源スーパーナチュラル・ピアノ音源
最大同時発音数256音256音
音色324音色324音色
鍵盤PHA-4 スタンダード鍵盤(象牙調、エスケープメント付き)PHA-4 スタンダード鍵盤(象牙調、エスケープメント付き)
ペダルダンパー・ペダル(プログレッシブ・ダンパー・アクション・ペダル、連続検出)、ソフト・ペダル(連続検出、機能切替可)、ソステヌート・ペダル(機能切替可)ダンパー・ペダル(プログレッシブ・ダンパー・アクション・ペダル、連続検出)、ソフト・ペダル(連続検出、機能切替可)、ソステヌート・ペダル(機能切替可)
スピーカー12cm × 212cm × 2
定格出力12W × 212W × 2
ヘッドホンヘッドホン・3D・アンビエンス対応ヘッドホン・3D・アンビエンス対応
調律・整音鍵盤タッチ(100段階、固定)、ハンマー・レスポンス(10段階)、マスター・チューニング(415.3 ~ 466.2Hz、0.1Hz単位)、音律(10種類)、主音指定可鍵盤タッチ(100段階、固定)、ハンマー・レスポンス(10段階)、マスター・チューニング(415.3 ~ 466.2Hz、0.1Hz単位)、音律(10種類)、主音指定可
エフェクト音の響き、音の明るさ、ピアノデザイナー(大屋根、ストリング・レゾナンス、ダンパー・レゾナンス、キー・オフ・レゾナンス、88鍵チューニング、88鍵ボリューム、88鍵キャラクター)音の響き、音の明るさ、ピアノデザイナー(大屋根、ストリング・レゾナンス、ダンパー・レゾナンス、キー・オフ・レゾナンス、88鍵チューニング、88鍵ボリューム、88鍵キャラクター)
内蔵曲397曲397曲
再生可能データSMF(フォーマット0、1)、オーディオ・ファイル(WAV形式、MP3形式、要USBメモリー)SMF(フォーマット0、1)、オーディオ・ファイル(WAV形式、MP3形式、要USBメモリー)
レコーダー録音可能データ(SMF、オーディオ・ファイル)録音可能データ(SMF、オーディオ・ファイル)
Bluetoothオーディオ(Ver3.0、SCMS-T方式対応)、MIDI(Ver4.0対応)オーディオ(Ver3.0、SCMS-T方式対応)、MIDI(Ver4.0対応)
アプリケーションRoland Piano App、ピアノ・デザイナーRoland Piano App、ピアノ・デザイナー
便利な機能メトロノーム、デュアル、スプリット、ツインピアノ、移調、スピーカー音量/ヘッドホン音自動切り替え、ボリューム・リミット、スピーカー・オート・ミュート、パネル・ロック、オート・オフメトロノーム、デュアル、スプリット、ツインピアノ、移調、スピーカー音量/ヘッドホン音自動切り替え、ボリューム・リミット、スピーカー・オート・ミュート、パネル・ロック、オート・オフ
外装譜面立て角度固定式、鍵盤蓋スライド式、アコースティック・ポジション対応譜面立て角度固定式、鍵盤蓋折りたたみ式
ディスプレイ有機ELディスプレイ(128 × 64ドット)有機ELディスプレイ(128 × 64ドット)
接続端子DC In端子、Input端子(ステレオ・ミニ・タイプ)、USB Computer端子(USB B タイプ)、USB Memory端子(USB A タイプ)、Phones端子 × 2(ステレオ・ミニ・タイプ、ステレオ標準タイプ)DC In端子、Input端子(ステレオ・ミニ・タイプ)、USB Computer端子(USB B タイプ)、USB Memory端子(USB A タイプ)、Phones端子 × 2(ステレオ・ミニ・タイプ、ステレオ標準タイプ)
電源ACアダプター(消費電力20W)ACアダプター(消費電力20W)
付属品取扱説明書、「安全上のご注意」チラシ、楽譜集「ローランド ピアノ名曲集」、ACアダプター、電源コード、ヘッドホン、ヘッドホン・フック、専用高低自在椅子、保証書取扱説明書、「安全上のご注意」チラシ、楽譜集「ローランド ピアノ名曲集」、ACアダプター、電源コード、ヘッドホン、ヘッドホン・フック、転倒防止金具、専用高低自在椅子、保証書
カラー・バリエーションダークローズウッド調仕上げ(RP701-DR)、ライトオーク調仕上げ(RP701-LA)、ホワイト(RP701-WH)ライトオーク調仕上げ(F701-LA)、黒木目調仕上げ(F701-CB)、ホワイト(F701-WH)
外形寸法幅 (W)1,366 mm、奥行き (D)463 mm、高さ (H)1,027 mm幅 (W)1,360 mm、奥行き (D)345 mm、高さ (H)781 mm(蓋を閉めたとき)、幅 (W)1,360 mm、奥行き (D)345 mm、高さ (H)913 mm(蓋を開けたとき)
質量46.0 kg36.0 kg

こちらも同様に、奥行きが約12cm短く、質量が10kg軽量化されています。F701は見た目がすっきりしており、省スペース志向の方に人気があります。

また、ローランドはスリムタイプでも椅子が付属しています。

実際どうなの?選ぶ際のポイント

どちらのタイプも基本的な音源や鍵盤の品質、機能性はほぼ同じですが、実際に使ってみると以下のような違いが見えてきます。

音の響き

スピーカーの位置やキャビネットの構造の影響か、カタログ上の性能は同じでもスタンダードタイプの方が音の響きに深みがあると感じる方が多いです。これは本体内部の空間の違いによるものかもしれません。

安定性・安全性

スタンダードタイプの方が重く、奥行きもあるため、地震などの際にも動きづらく、転倒しにくいというメリットがあります。安全性を重視されるご家庭にはスタンダードタイプが安心です。

見た目・設置性

スリムタイプは奥行きが浅く、省スペース・スッキリしたデザインが魅力です。狭めの部屋や壁沿いにピッタリ設置したい方にはおすすめ。

まとめ:どちらが良い?比較表でチェック!

見た目や設置スペース、価格、音の響きなど、どこに重きを置くかで選ぶモデルは変わってきます。

特徴スタンダードタイプスリムタイプ
デザイン ◯(省スペース)
価格◯(椅子付きでコスパ良) 
安全性◯(重量・安定感あり) 
付属品◯(椅子・ヘッドホン付きが多い)椅子が別売の場合あり

中古で選ぶなら

スリムタイプでもスタンダードタイプでも、中古品であっても基本的に問題なく使用できます。
しっかりと動作確認されているものであれば、性能面での心配は少なく、価格を抑えられるのが中古の大きな魅力です。

また、中古電子ピアノの場合、もともとの仕様では椅子が付属していないモデルでも、販売時に椅子やヘッドホンがセットになっていることも多く、トータルで見るとお得に揃えられるケースもあります。

さらに、すでに生産終了となったモデルなども選択肢に入るため、当時上位グレードだった機種を安く手に入れられる可能性もあるのが中古の魅力です。

購入の際は、以下の点をチェックすると安心です:

  • 椅子が付属しているか
  • 鍵盤やペダルの状態
  • スピーカーから異音が出ないか
  • 内部録音やUSB接続などの機能が問題なく使えるか

中古でも、長く使える一台に出会えるチャンスは十分にあります。

当店ではスリムタイプでも全てメンテナンス&調整済として販売しております。

マットについて

設置場所にマットを敷く場合、スリムタイプは重量が軽いため、最初はややふわふわと動くような感覚があります。
ただし、数日経ってマットに本体の脚の型がついてくれば、しっかり安定するようになりますので心配ありません。

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