電子ピアノのオルガン音色をもっと楽しむ方法|ペダルで速さを変えるロータリー効果

電子ピアノにはピアノだけでなく、エレピ、ストリングス、そしてジャズオルガンまで幅広い音色が搭載されています。
中でもオルガン音色を選んだときに欠かせないのが ロータリースピーカー効果(ロータリー効果) です。

ペダルやボタンを使ってスピーカーの回転速度を変えることで、実際のジャズオルガンのような「揺らぎ」を再現できます。この記事では、その仕組みや各メーカーでの操作方法を少し専門的に解説します。

オルガン音色とペダル機能の違い

アコースティックピアノでは、ペダルは「ダンパー」「ソフト」「ソステヌート」といった役割を持ち、音の響きや強弱に直結します。
しかし、オルガンの音色には タッチによる強弱が存在しない ため、ソフトペダルの機能は不要になります。

その代わりに電子ピアノでは、ペダルに ロータリースピーカーの速度切り替え を割り当てる仕様が一般的です。
これにより、リアルなオルガンサウンドを演奏中にコントロールできるようになっています。

ロータリースピーカーとは?

ロータリースピーカーは、内部のホーン(高音用)やローター(低音用)が物理的に回転する構造を持つスピーカーです。
回転によって生まれる ドップラー効果 により、音程がわずかに揺れ、独特の立体感・うねりが加わります。

  • Slow(コーラス的な広がり)
    ゆったりとした揺れで、落ち着いた雰囲気に。バラードや伴奏に最適。
  • Fast(トレモロ的な効果)
    素早い揺れで、ジャズやゴスペルで迫力を出したい場面にぴったり。

実際のロータリースピーカー(代表例:Leslie 122など)では、モーター駆動によって物理的に回転速度が切り替わり、加速・減速の過程 まで表現されます。
電子ピアノでもこの挙動をシミュレートしており、機種によっては速さの調整まで可能です。

《参考映像》

メーカーごとのロータリー効果の切り替え方メーカーごとのロータリー効果の切り替え方

電子ピアノのブランドによって操作方法は異なります。代表的なものを紹介します。

ヤマハ クラビノーバ(CLPシリーズ) / アリウス(YDPシリーズ)

左ペダル(ソフトペダル)を踏んでいる間だけロータリーの速さが切り替わります。
ペダルを離すと元の速さに戻ります。

カワイ CAシリーズ

こちらもペダルを踏んでいる間だけ「Slow / Fast」が切り替わります。

ローランド LXシリーズ

ペダルではなく、パネル上の「鍵盤マークボタン」でスピードを変更。
ペダルを使わずに操作できるので、演奏スタイルに合わせやすいのが特徴です。

上級者向けの活用ポイント

  1. 曲調に合わせてスピードを切り替える
    • バラード → Slow
    • アドリブソロや盛り上がり → Fast
  2. 加速・減速のタイミングを演出に使う
    実機同様、切り替えた瞬間にスピードが変わるのではなく、じわっと加速・減速します。
    この時間を計算に入れると、より本格的な演奏表現が可能です。

まとめ

電子ピアノのオルガン音色は、ただ鳴らすだけでは本当の魅力は出し切れません。
ロータリースピーカー効果をペダルやボタンで切り替えることで、ジャズやゴスペルの雰囲気をぐっと引き出せます。

最初はシンプルに「遅い揺れ」「速い揺れ」の違いを楽しみ、慣れてきたら速度や加速感を活かした演奏に挑戦してみましょう。

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