ローランド電子ピアノに搭載されている「アンビエンス」とは?
ローランドの電子ピアノには、「アンビエンス(Ambience)」という音響設定機能があります。この機能を活用することで、単に音色を選ぶだけではなく、演奏している空間そのものを再現するような深い没入感を得ることができます。この記事では、その具体的な内容と活用方法について詳しく解説します。

アンビエンスとは何か?
「アンビエンス(Ambience)」とは、英語で「雰囲気」や「環境音響」と訳される言葉です。音楽用語としては、演奏する空間の響き、つまり“どのような場所で音が鳴っているか”という音響的な環境を指します。
たとえば、同じピアノでも「小さな部屋」と「大ホール」では音の響き方がまったく異なります。アンビエンス機能は、この違いを電子的にシミュレートし、演奏空間の雰囲気を自由に切り替えることができる機能です。
ローランドのアンビエンス設定の特長
ローランドの電子ピアノでは、以下のような空間をリアルに再現することができます:
- コンサートホール
- スタジオ
- 大聖堂
- ラウンジ(家庭のような小規模空間)など
これらの設定は、音の反射や残響の長さ、広がり方などを細かく調整して作られており、リアルな空間再現性に優れています。
また、モデルによっては「ピアノの蓋(リッド)の開閉」や、「演奏者の耳に届く音の位置」までも調整できるものもあり、非常に細かな音場設計が可能です。
音色設定の3つの階層とアンビエンスの位置づけ
電子ピアノの音を変える方法は、主に以下の3つの段階に分けられます。
1. 楽器選択(ベースとなる音)
まず選ぶのは、どのピアノの音を使うか。例えば:
- コンサートグランドピアノ
- ジャズグランド
- アップライトピアノ
- エレクトリックピアノ(Rhodes風やFM音源系など)
このステップが「音色を変える」の最初の部分です。
2. アンビエンス設定(空間の再現)
ここが本記事の主題です。選んだ音色に対して、「どこで鳴っているのか」を設定します。
- ホールでの反響のある響き
- スタジオのような明瞭な音場
- 響きのないドライな設定(無響室のような状態)
※アンビエンス設定では、音そのものは変わりませんが、リスナーが感じる“音の広がり”が大きく変化します。
3. 音質・トーンの調整(詳細なカスタマイズ)
さらに一歩踏み込んで、ピアノの音質自体を変更することも可能です。
- 明るい音、柔らかい音、力強い音などのキャラクター変更
- 高域・中域・低域のバランス調整(EQ設定)
- ハンマーノイズやキーオフノイズの調整(上位モデル)
アンビエンス設定の活用例
演奏をよりドラマチックにしたいとき
広がりのある「ホール」設定を使えば、まるでコンサート会場で演奏しているような臨場感が生まれます。モチベーションが上がり、曲の表現力も自然と高まります。
日常の練習に変化をつけたいとき
いつもと違う空間設定に変えることで、同じ曲でも新鮮に感じることができます。特に「大聖堂」や「教会」の設定は独特の神秘的な響きがあり、クラシック曲などとの相性も抜群です。
テクニックを見直したいとき
「ドライ(響きなし)」設定にすると、演奏の粗がはっきりと分かるようになります。たとえば、鍵盤を離すタイミング、音の切れ目、タッチのムラなどが明瞭になり、基礎練習に非常に効果的です。
他社との違い
メーカーごとに同様の機能はありますが、呼び方や細かさに違いがあります:
- ヤマハ:「PIANO ROOM」という視覚的なインターフェースで、部屋やピアノを直感的に選べる。
- カワイ:明確な名前はないが、「リバーブ」や「トーンコントロール」などを個別に設定。
- ローランド:アンビエンス機能が一つの設定メニューに統合されており、環境の切り替えがスムーズ。
ローランドは特に「空間の再現」に力を入れており、リアルな音場感にこだわるユーザーに好まれています。
アンビエンスは“演奏の空気”を変える鍵
電子ピアノにおける「アンビエンス」機能は、単なるエフェクトではなく、「空間を選ぶ」という体験そのものです。毎日の練習を豊かにし、表現力を広げ、マンネリを防ぐ手助けにもなります。
お気に入りの音色を見つけたら、ぜひその音が“どんな空間で鳴っているか”にもこだわってみてください。電子ピアノの楽しみ方が、きっと広がるはずです。
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