ヤマハ電子ピアノ「T01」が2025年度グッドデザイン賞を受賞。

ヤマハが手がける電子ピアノ TORCH「T01」 が、「2025年度グッドデザイン賞」を受賞しました。
同時に受賞したのは、楽器演奏者向けアプリ「Extrack」、そして管楽器エントリーモデルの梱包箱。
どれも“楽器づくりの現場から生まれたデザイン”という点で共通していますが、今回はその中でも電子ピアノ「T01」に焦点を当ててみたいと思います。

鍵盤にグラナディアを使用。管楽器から生まれた新しいピアノ。

T01が特別なのは、クラリネットやオーボエの製作時に出るグラナディアの端材を、鍵盤の材料として再利用していることです。
グラナディア(グラナディラ)は高級木材として知られ、密度が高く、硬く、そして美しい深みのある黒色が特徴。
そのためT01では、白鍵も黒鍵もすべてが黒。ピアノ全体が落ち着いた漆黒に包まれています。

“リサイクル材を使う”と聞くと簡単に思えるかもしれませんが、グラナディアのような硬い素材を均一に加工して鍵盤として仕上げるには、かなりの精度が求められます。
ヤマハの技術力があってこそ実現できた試みと言えるでしょう。

外装も特別。天然塗料とレーザー加工が生む手仕事の美。

一般的な電子ピアノは、MDF材にビニールシートを貼った外装が多いのですが、MDFの素地を活かしながら、天然由来の塗料を職人が手塗りで仕上げているのです。

さらに、グラナディラ樹皮の独特な模様を再現するために、ヤマハ独自のレーザー加工技術が使われています。
塗装や装飾というより、“木を生かした表情づくり”という方がしっくりくるような仕上げです。
実際に見ると、黒なのにどこか柔らかく、温もりを感じる質感です。

静けさと存在感を併せ持つデザイン

グラナディアの黒は深みがあり、照明の角度によって微妙に表情を変えます。
インテリアとしても違和感がなく、部屋の空気を引き締めてくれるような存在感があります。

見た目だけでなく、素材の物語や職人の手仕事が宿っているのが、このモデルの魅力。
電子ピアノでありながら、まるで一本の楽器が新しい命を吹き込まれたような印象を受けます。
(とはいえ、価格も相応に“本格的”です…!)

▶ TORCH「T01」を実際に弾いてみた感想はこちら
ヤマハ電子ピアノ「TORCH T01」を試奏してきました

同時受賞:クラビノーバ「CLPシリーズ」はロングライフデザイン賞に

実はもうひとつ、ヤマハの電子ピアノで受賞したモデルがあります。
それがクラビノーバ「CLPシリーズ」
1985年の発売から40年、「ロングライフデザイン賞」を受賞しました。

“電子ピアノ=クラビノーバ”というほど定着した名前ですが、その背景には長年の改良とデザインの積み重ねがあります。
「電子ピアノ」という新しいカテゴリーを作り上げ、今なお多くの家庭で愛されているという、まさに長寿ブランドの証といえる受賞です。

グッドデザイン賞に選ばれた電子ピアノたち(過去の受賞一覧)

年度メーカーモデル名
2024年カシオCelviano AP-S450
2022年ローランドF107
2019年カワイNOVUS NV5
2018年ヤマハP-125 / P-121、P-515
2018年ローランドLX708
2017年カワイNOVUS NV10
2015年ローランドKIYOLA KF-10

こうして見ると、各メーカーがそれぞれのアプローチで「電子ピアノらしさ」を追求してきたことがわかります。
T01はその流れの中でも、“素材の再利用”と“職人の手仕事”というヤマハでしか出来ない電子ピアノを提示した一台として記憶に残るモデルになりそうです。

参考リンク

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