カワイCX302とヤマハCLP-825を比較してみた【2025年最新】

電子ピアノを選ぶときに必ず出てくるのが「カワイ」と「ヤマハ」。
2024年~2025年にかけて、この2大メーカーから新しいエントリーモデルが相次いで登場しました。
それが カワイ「CX302」ヤマハ「CLP-825」 です。

どちらも約15万円くらいで、Bluetooth対応・樹脂製鍵盤という共通点を持つモデルですが、実は両機種ともにメーカーの「モデルチェンジの流れ」が背景にあります。ここを少し整理してみましょう。

1. カワイ電子ピアノの流れとCX302の登場

カワイは長年「CNシリーズ」を展開してきました。

  • CNシリーズ200番台 … ピアノとしてのクオリティーを重視したスタンダードモデル
  • CNシリーズ300番台 … Bluetoothなど電子的な機能を充実させたモデル

しかし、300番台は「便利だが価格が上がりすぎる」というデメリットが目立ち、販売面では伸び悩みました。

さらに、従来は「10万円以内で本格ピアノタッチ」が魅力だったCNシリーズも、CN201以降は価格が上昇し、エントリーモデルとしての立ち位置が薄れていきました。

そこで2025年9月、新シリーズ 「CXシリーズ」 が登場します。

  • CN201の進化系 → CX302
  • CN29直系の低価格帯 → CX202

つまり、カワイは「練習用に買いやすい樹脂鍵盤モデル」と「少し上のグレード」をはっきり分け、再び選びやすいラインナップに整理しました。
その中で中心となるのが今回の CX302 です。

2. ヤマハ電子ピアノの流れとCLP-825の登場

ヤマハは「アリウス」と「クラビノーバ」という2本柱を展開してきました。

  • アリウス(YDPシリーズ) … ピアノ機能に絞ったシンプルモデル
  • クラビノーバ(CLPシリーズ) … 表現力や高級感を重視した本格モデル

2024年9月、クラビノーバはフルモデルチェンジを行い、CLP-835/845/875/885 が登場しました。ところが、わずか2か月後の11月にもうひとつ新しいモデルが投入されます。
それが CLP-825 です。

この機種は「アリウスとクラビノーバの中間的存在」として設計されており、

  • アリウスよりは本格的に
  • しかし上位クラビノーバほど高価ではない

という絶妙なポジションを担うモデルです。

3. だから「CX302」と「CLP-825」が比較される

カワイは「CNからCXへ」モデルチェンジを行い、エントリー〜中級層を再整理。
ヤマハは「アリウスとクラビノーバの隙間」を埋める新モデルを投入。

結果的に、この2つの新顔「CX302」と「CLP-825」が 同じ価格帯・同じ樹脂鍵盤・Bluetooth対応 という条件で並び、自然と比較される関係になったのです。

4 カワイ CX302 の特徴

CX302
  • 2025年9月発売、CNシリーズの後継となる新「CXシリーズ」
  • CN201から進化したモデルで、ピアノと電子機能のバランス型
  • Bluetoothオーディオ/MIDI 両対応
  • 鍵盤:Grand Emotional Action Standard(GES) 樹脂製、象牙調仕上げ
  • 音源:SK-EXコンクールグランドをベースとした88鍵ステレオサンプリング
  • 最大同時発音数:192音
  • アンプ出力:40W(20W×2) → 音量感に強み
  • レッスン曲300曲、コンサートマジック50曲など練習機能が充実
  • 消費電力わずか11Wで省エネ

「練習用途」「家族で使うピアノ」として使いやすく、スピーカー出力も強めで音の厚みがあるのがポイントです。

5. ヤマハ CLP-825 の特徴

CLP-825
  • 2024年11月発売、クラビノーバシリーズのエントリーモデル
  • アリウスとクラビノーバの“中間”を埋める位置づけ
  • Bluetoothオーディオ/MIDI 両対応
  • 鍵盤:グランドタッチ-エス™鍵盤(象牙調・黒檀調仕上げ、エスケープメント付き)
  • 音源:ヤマハCFXベーゼンドルファー インペリアルサンプリング
  • 最大同時発音数:256音
  • アンプ出力:20W×2
  • 録音機能は2トラック対応、クラシック曲50曲+レッスン曲303曲内蔵
  • VRM(仮想共鳴)、グランドエクスプレッションモデリング搭載 → 表現力の細かさに強み

「グランドピアノらしい表現力」に重点が置かれており、バイノーラルサンプリングによるヘッドホン演奏も魅力です。

6. CX302とCLP-825の比較ポイント

項目カワイ CX302ヤマハ CLP-825
発売時期2025年9月2024年11月
鍵盤GES 樹脂製、象牙調グランドタッチ-エス™、象牙調・黒檀調、エスケープメント付
音源SK-EXコンクールグランド(カワイ)CFX + ベーゼンドルファー(ヤマハ)
最大同時発音数192音256音
スピーカー12cm×2、40W12cm×2、20W×2
録音1パート×3曲2トラック録音、SMF対応
レッスン曲300曲+コンサートマジック50曲クラシック50曲+レッスン曲303曲
Bluetoothオーディオ/MIDI両対応(AAC/SBC)オーディオ/MIDI両対応
サイズ/重量136×40.5×85.5cm / 39kg135×41.1×84.9cm / 45kg
価格帯約13万円約16万円

7. おすすめポイントまとめ

最後に、両機種を選ぶ上でのおすすめポイントを整理してみます。

  • 価格を重視するなら → CX302
     同価格帯ですが、カワイの方がコストパフォーマンスを感じやすいモデル。
  • 最大同時発音数
     CX302は192音、CLP-825は256音。
     通常のピアノ演奏では192で全く問題ありません。ただし、本格的なDTMやレイヤーで音を重ねたい人には256音の安心感があるでしょう。
  • スピーカー&アンプ出力
     両機種とも12cm×2スピーカー、約40W出力で同等。大差はありません。
  • 鍵盤のタッチ
     カワイのGES鍵盤、ヤマハのグランドタッチ-エス™鍵盤。
     ここは「好みの範疇」で決めるのが正解です。
  • ピアノの音色
     - CLP-825 … ヤマハCFXとベーゼンドルファーの2種類が楽しめる
     - CX302 … SK-EXコンクールグランドの音に特化
     音色数ではなく「自分が好きな音」を選ぶのがポイントです。
  • ヘッドホン演奏
     ヤマハはバイノーラルサンプリングに対応し、立体的な音場が楽しめます。ヘッドホン主体で練習する方には強み。
  • カラー展開
     CLP-825 … 2色(ローズウッド調/ホワイトウッド調)
     CX302 … 4色(ホワイトメープル/ライトオーク/モカウォルナット/ローズウッド)
  • 静音構造
     CX302は打鍵音を抑える構造になっており、マンションや夜間練習を意識する人にうれしい仕様。

8. 結論

機能や出力については大きな差がなく、最終的には 「どんな音が好きか」「どんな使い方をするか」 で決まります。

  • ピアノの音にこだわる人 → CLP-825
     2種類のグランドピアノ音源とバイノーラル対応で、本格的な演奏表現を楽しめます。
  • 使いやすさ・価格のバランスを重視する人 → CX302
     静音構造や練習曲の豊富さなど、日常的に弾きやすい工夫が詰まっています。

どちらのモデルも“エントリーモデル”に位置づけられながら、本格的な演奏が楽しめる電子ピアノです。価格と機能のバランスが良く、最初の一台としてはもちろん、長く使える満足度の高い選択肢になるでしょう。

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