カシオ・セルビアーノ「AP-300」と「AP-470」を比較

2025年2月27日発売!カシオの新モデルAP-300とは?

カシオは2025年2月27日に新しいセルビアーノシリーズとして「AP-300」と「AP-S200」を発売します。本記事では、従来のモデル「AP-470」と新モデル「AP-300」を比較し、その違いや特徴を詳しく解説します。

CASIO CELVIANO AP-300

AP-300はAP-270の後継機種に見えますが、価格帯や仕様を見るとAP-470の後継とも捉えられます。カシオの電子ピアノでもあまり無かった15万円予算での電子ピアノになっています(AP-270が約6~7万円、AP-470が約12万円)。

AP-300では鍵盤や音響機能が大幅に強化され、従来のセルビアーノ・シリーズとは異なる特性を持つ新しいタイプの電子ピアノになっています。

スペック比較

機種名AP-300(発売日2025年2月)AP-470(発売日:2018年2月
価格オープン価格(市場価格:148,500円)オープン価格(市場価格:115,500円)
鍵盤スマートスケーリングハンマーアクション鍵盤3センサースケーリングハンマーアクション鍵盤Ⅱ(表面仕上げ 白鍵:象牙調、黒鍵:黒檀調)
鍵盤数8888
タッチレスポンス感度設定5種類、オフ感度設定3種類、オフ
音源マルチ・ディメンショナル・モーフィングAiRマルチ・ディメンショナル・モーフィングAiR
最大同時発音数192256
音色数19(グランドピアノ3音色、スプリット機能使用時の低音域専用1音色を含む)22(スプリット機能使用時の低音域専用1音色を含む)
・内蔵曲:60(ミュージックライブラリー)
・ユーザーエリア:10曲(1曲あたり最大約100KBまで)
・レッスン機能:パートオン/オフ (パートセレクト:右手/左手/両手)
・デモ曲:1曲
パートオン/オフ(パートセレクト右手/左手)
録音機能・MIDIレコーダー:2トラック、1曲、リアルタイム録音、データ容量1曲あたり約10,000音符
・オーディオレコーダー:最大99曲、1曲あたり最大約25分(USB メモリーに録音、16bit 44.1kHz ステレオWAV フォーマット)
MIDI録音 2トラック、1曲、リアルタイム録音、データ容量合計約5,000音符
ペダル付属3本ペダルユニット(ダンパー:2段階/オフ、ソフト:2段階/オフ、ソステヌート:オン/オフ)3本: ダンパー(ハーフペダル対応)、ソフト、ソステヌート
スピーカー12㎝x212cm×2
アンプ出力20W + 20W(実用最大出力)8W+8W
電源家庭用AC100V電源家庭用AC100V電源
消費電力20W18W
寸法幅1,401x奥行440x高さ869㎜(譜面立て含まず)幅1,417×奥行432×高さ821mm ※譜面立ては含まず
質量47.1㎏36.6kg
カラーBK、BN、WE、GBBK、BN、WE
付属品ワイヤレスMIDI & AUDIOアダプター(WU-BT10)、ACアダプター(AD-E24250LW)、譜面立て、高低自在イス、楽譜集、ヘッドホンフックACアダプター(AD-A12150LW)、イス、ヘッドホン、譜面立て、楽譜集
主な機能/仕様アコースティックシミュレーター
・ストリングレゾナンス(4段階、トーン、オフ)
・ダンパーレゾナンス(4段階、トーン、オフ)
・ダンパーノイズ(4段階、トーン、オフ)
・キーアクションノイズ(4段階、トーン、オフ)
・88鍵デジタルスケーリング
・ハンマーレスポンス
・キーオフレスポンス
・リッドシミュレーター(4段階、トーン)
アコースティックシミュレーター
エフェクト・サウンドモード(ホールシミュレーター4種/リバーブ4種、サラウンド、オフ)
・コーラス(4種、トーン)
・ブリリアンス
・DSP(一部の音色に組込み済み)
リバーブ(4種、オフ)、コーラス(4種、オフ)、ブリリアンス、DSP(一部の音色に組込み済み)
レイヤー/スプリットレイヤー可(ベース音色を除く)
スプリット可(低域はベース音色のみ)
オクターブシフト-2オクターブ~0~+2オクターブ-2オクターブ~0~+2オクターブ
トランスポーズー12半音~0~+12半音ー12半音~0~+12半音
チューニングコントロールA4=415.5Hz~440.0Hz~465.9Hz(0.1Hz単位で設定可)A4=415.5Hz~440.0Hz~465.9Hz
音律(スケールチューニング)平均律+16種類平均律+16種類
メトロノーム拍子ベル音:オフ、1~9
テンポ可変:♩=20~255
速度標語によるテンポ設定:9種類
タップテンポ、ドラムパターン20種類
拍子: 0~9 テンポ可変:♩=20~255
オーディオ再生
その他天板開閉
コンサートプレイ(アプリ「CASIO MUSIC SPACE」により活用可能)
ヘッドホンモード
デュエット機能
ボリュームシンクイコライザー
その他・タッチボタン:6(ダイレクト音色選択ボタン:1)
・スライド式鍵盤カバー
・操作ロック
・オートレジューム
・オートパワーオフ
入出力端子USB
USB Type A、USB Type B
USB
3本ペダルユニット用コネクタ
ヘッドホン2:ステレオ標準フォンジャック(TRSフォン)2(標準ステレオジャック)/アウトプット端子兼用
拡張機能アプリリンク機能
●(CASIO MUSIC SPACE)
アプリリンク機能
ワイヤレス機能ワイヤレスMIDI & AUDIOアダプター(WU-BT10)付属、Bluetooth®バージョン5.0
MIDI●(付属ワイヤレスMIDI & AUDIOアダプターまたはUSB端子を使用)●(USB Type B端子を使用)

鍵盤について

【鍵盤】スマートスケーリング vs 3センサースケーリング

今回発表されたAP-300とAP-S200「スマートスケーリングハンマーアクション鍵盤」が搭載されています。

5年ほど前の機種より搭載されており、スリムタイプやコンパクトタイプのために開発された鍵盤グランドピアノのようなハンマーの自重によるアクション機構を大幅に小型化された鍵盤で、スリムタイプのボディーでも自然なタッチ感になっています。音域ごとの発音タイミングの違いを再現したこれまでのハンマーレスポンス機能に加え、発音の大きさを1鍵ごとにデジタル制御することで、グランドピアノを弾いているような感覚での演奏を可能にしています。

AP-470で搭載された「3センサースケーリングハンマーアクション鍵盤II」は3つのセンサーが順番に打鍵を感知するシステムを採用しており、打鍵の検出から発音までの時間を打鍵の速さに応じてきめ細かく変化させることが可能な鍵盤です。現在もPriviaシリーズでも今でも採用される鍵盤構造システムですが、現行のセルビアーノの上位モデルでは「スマートハイブリッドハンマーアクション鍵盤」に変わっています。

タッチレスポンス

タッチレスポンスとはピアノの打鍵時の強さをどのくらい調整出来るようにするかということです。AP-470では3段階でしたが、AP-300では5段階になっています。

【音の違い】同時発音数・音色

音色

AP-300では同時発音数が減っています。現在は256音(MIDIの上限値)が当然のようにあり、ピアノ音色に限っては無限という機種もある中、192音に減らすのはエントリーモデルでは必要ないということでしょうか。とはいえ、192音もあれば十分あります。

音色数も減っており。19音色になっています。しかし、特にグランドピアノ音色に重点を置いており、3つのグランドピアノ音色(ベルリングランド、ハンブルクグランド、ウィーングランド)が楽しめます。

また、AP-300は天板を開閉することもできるので、グランドピアノの大屋根を開けた時のような明るく広がりのある音での演奏が可能になります。

スピーカー&アンプ

スピーカーサイズは同じですが、AP-300のアンプ出力は20W×2(AP-470は8W×2)と大幅に向上。これにより、より豊かな音量と臨場感のある演奏が可能です。

機能

AP-300は電子ピアノならではの機能が充実しています。オーディオ録音に対応したほか、付属のワイヤレスMIDI&AUDIOアダプター「WU-BT10」を使えば、スマートフォンやタブレットとピアノのBluetooth®オーディオ接続やMIDIデータ通信が可能になります。

スマートフォンなどからの音をピアノのスピーカーで出しながら演奏することも可能です。

Bluetooth接続で使用できる専用アプリ「CASIO MUSIC SPACE」には、ピアノや音楽をより自由に楽しむための機能が満載。リモートコントローラーとして使えば、スマートフォンやタブレットの画面上のグラフィカルなUIで、音色選択や細かい設定の変更などをより直感的に操作できます。

またUSB-TypeBが搭載されているので、PCと接続することも可能になっています。

総評

AP-300はAP-470の後継というより、新しいコンセプトのセルビアーノシリーズ・です。音響性能や利便性が向上し、Bluetooth対応や天板開閉など、新機能も追加されました。

鍵盤構造が従来のものから変わったことので、従来のカシオの鍵盤とは異なる演奏感覚になるかもしれません。

しかし、サウンドや機能性については大きくバージョンアップしています。
同時発音数や音色数が減ってはいますが、ピアノ演奏ということに関して言えば十分と言えます。

電子ピアノを利用した本格的なこと(DTMや難易度の高い楽曲の演奏やピアノタッチを重要視する場合など)では若干物足りなさがありますが、それでもワイヤレス機能などを利用して気軽にピアノを楽しむ機種として登場した機種です。

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